2024年度 学習ガイドブックⅠ
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◆教科書・参考文献について・・教科書(1)『長与専斎』(小島和貴長崎文献社)2019参考文献①『日本行政史』(笠原英彦編、慶應義塾大学出版会)教科書は、日本の行政の動態について、官僚の視点から整理が試みられています。行政学は官僚制研究として発展してきたことから、ここでの視点は重要です。官僚は国の統治や法の執行、行政サービスの提供に大きな影響力をもつためです。好むと好まざるとにかかわらず私たちの生活は官僚制とともにあります。参考文献では明治維新以降の日本行政が概観されます。①は内閣制度や戦後改革を踏まえると同時に、衛生行政や警察行政等、各論の行政領域もカバーしています。②は維新以降の日本の行政を政治との関わりを意識しながら論じています。官吏制度の形成についても触れられています。◆科目の内容について・・・本科目は、高等学校で学ぶ歴史、とりわけ日本史で取り上げられる事柄を活用しながら、日本の行政について理解を深めようとする。そして現代社会で求められるコミュニケーション力の涵養に向け、本科目で学んだ行政や官僚の智識を活用することが期待される。そのため、本科目は行政学プロパーになることを目指す受講生を対象とするものでなく、円滑な人間関係形成に向けた行政をめぐる教養の修得を目標とするものである。もしくは法の形成や執行、あるいは憲法や社会福祉の法などに見える法解釈学の基礎的理解を深めることを予定するものである。1868年の鳥羽伏見の戦いに端を発する旧幕府軍と明治新政府軍の戦いは、翌年の五稜郭における榎本武揚の降伏により終結を見た。その同じ年、明治新政府は版籍奉還により、「土地」と「人民」の集権化を図る。そしてその2年後、岩倉具視を中心とした一大使節団が幕末に締結を余儀なくされた不平等条約の改正及び西欧諸国における制度文物の調査のため横浜港を出奔した。徳川幕藩時代に採用された鎖国や中国寄りの政策は変更され、日本のグランドデザインの形成に西欧諸国が意識されるようになったのである。その際、岩倉具視や大久保利通など、官僚のアイデアに基づいた政策形成がなされ、日本の近代化が進められた点を見逃すことはできない。例えば、殖産興業や富国強兵をはじめ、各種法典編纂事業の進展や官吏制度の形成、あるいは電信網の整備や官営工場の設置、さらには人々の生活にとって重要な医療や衛生の仕組みの形成がいかに進められたのか、といったことが日本官僚論の文脈で議論されてきたのである。教科書では、医療や衛生の仕組みの形成に尽力した近代日本最初の「衛生官僚」として知られる長与専斎を通じて、日本行政の動態が取り上げられる。欧州では18世紀後半の近代市民革命を通じて「自由放任主義」が模索されたが、産業化と都市化の進展から、住民の健康が問題視されるようになり、行政対応が求められるようになった。しかし日本では、近代化を模索した当初より、法典編纂事業等と平行行政学担当教員名小島和貴RT2単位選択15014000ISBN:9784766417845②『改訂版日本の政治と行政』(笠原英彦・桑原英明編、芦書房)ISBN:978-4755612770ISBN:9784888513166

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