2024年度 学習ガイドブックⅠ
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【レポート学習で学んで欲しいこと】ーランドの倫理学者であるロザリンド・ハートハウスは、「貧困状態にあるなど、子どもをきちんと世話することができない」と熟慮したうえでの中絶という決断と「自分が楽しく過ごしたい」と軽率に考えての中絶という決断とでは、その決断が正しさのか悪いのかの判断は異なるはずだろうと主張しています。この判断の異なりを、ノディングズ、あるいは、「ケアの倫理」は「心情と状況の把握、ケアの係わり合いの実現、出会いが生むケアしケアされる関係の将来的な展開」に即して考えていこうとしています。福祉の中でよく用いられるケアという言葉は、かなりの広がりを持っていることを学んで欲しいと思います。レポート学習では、とくに教育と福祉の領域に注目しますが、それ以外にも、保育とか看護とかの領域でもケアリングの考え方が重要な役割を担っています。自分の生活も振り返りつつ、ケアリングを多角的に理解してください。テーマ1の「教育とケアリング」に対応する第11章では、ケアリングという考え方の基本的な枠組みを学びます。ネル・ノディングズは、ケアリング関係を分析して、「ケアする人」、「ケアされる人」の役割に考察を進めています。この枠組みのなかで、日常生活での経験を自ら振り返ると、ケアリングとは何を意味するのかが把握しやすくなるはずです。テーマ2の「地域社会とケアリング」では、「すべての人に居場所と出番がある共生のまちづくり」というある種の理念を巡って、それを実現しようとする取り組みを学びます。そこに住む人々に新たなコミュニティの形成への参加を促すためには、どのようなことを考えるとうまくいくのか、モデルとなっている事例を通じて考察を深めてください。テーマ3では、「子ども食堂」の取り組みを通じて、ケアリングの具体的なあり方を学びます。ケアがあふれている場を具体的に想像する機会にもなっています。しかも、「そうした場をケアする」構造という「子ども食堂」を見守る存在があることの意義にも考察が進められていることに注目してください。これは、テーマ2とも関連のある視座であるはずです。テーマ4で取り上げる第13章では、倫理学上の専門的な論考に触れることになります。他の章よりも専門性の高い部分ですので、教科書をいつも以上に丹念に読み込む必要がある箇所です。わたしたちが日常の中でなす「〜してもよい(してはいけない)」という倫理的判断は、直感的に「こうだ」という結論がまず与えられることが多いはずです。しかし、倫理学では「なぜ、そう判断するのか」という理由が問われます。その判断理由を「ケアの倫理」はどう考えているのか、考える機会にしてください。◆科目修了試験に臨む前に・・・形式レポート形式アドバイス試験範囲は、テーマ1からテーマ4までで設定されている学習内容です。出題と評価の観点は、次のようにまとめられます。こうした観点から、みなさんのこれまでの学習を、科目修了試験によって評価します。しかし、内容がいくら充実していたとしても、字数の条件が満たされていなければ、それだけで不合格になります。試験のときには、どの程度の分量で論述しなければならないのか、それに注意してください。(ア)各領域でのケアリングの考え方の枠組みが理解できているか。(イ)教科書の論述に沿ってケアリングの考え方が捉えられているか。(ウ)教育や福祉の実践と結びつけてケアリングの意味が見いだされているか。(エ)試験の題意をふまえた論述になっているか。参照物一切不可

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