課程の概論に当たる内容が網羅されています。参考文献③は、現在考えられるスクールソーシャルワークを取り巻く範疇、課題を網羅的に項目立て、各2頁にまとめられています。◆科目の内容について・・・本科目は、不登校や暴力行為、貧困、いじめなどが深刻化するなかで2008(平成20)年度からスタートした、文部科学省による「スクールソーシャルワーカー活用事業」に基づき、全国で社会福祉士等が学校や教育委員会に配属され、ソーシャルワーカーとして社会的な機能を果たしつつある中で、「子どもの豊かな育ちを擁護する」という視座から企画されました。スクールソーシャルワークに関する研究は、ソーシャルワークの倫理・知識・技術を基礎として、それらを学校という現場で実践していくために、スクールソーシャルワーカーを養成することに力点がおかれてきました。具体的にはソーシャルワークの機能を代表するキーワードに「まもる・ささえる・つなぐ・つくる」があります。これらを簡単に紹介しておけば、「まもる」とは子どもたちの権利とみらいを「守る」こと。「ささえる」とは子どもたちとその家族の暮らしを社会福祉の視点から「支える」ということです。そして、「つなぐ」とは孤立しがちな不登校の状態にある子どもやいじめの被害にあっている子を、地域や社会と「つなぐ」ということです。さらに「つくる」とは、援助を必要としている子どもたちを「まもり、ささえ、つなぐ」ためのつながりや専門機関などのネットワークを「つくる」ということになります。担当教員は、岐阜県教育委員会におけるスクールソーシャルワーカー・スーパーバイザーを務めた経験をもつ実践研究者です。また、日本スクール(学校)ソーシャルワーク学会などに参画し、全国の主要な動きを逐次把握できるネットワークを活用できる立場にあります。全国各地のスクールソーシャルワーカーの実際の活動を踏まえ、事例検討を受講者とともに展開します。そのための学習課題が教科書中に示してあります。本科目では「子どもの発達と健康、そして教育のしくみ」に関する知識と対応策を学び、学校内外の環境の中で、子どもやその親、教員と教育委員会、地域の人々など学校と関係のあるすべての方々をパートナーとみなし対話ができる素地を養成していきます。◆学習をすすめるために・・・科目の内容に示したような視点に基づく本科目では、「子どもの豊かな育ち」と「家族システム」を擁護するために、スクールソーシャルワーカーやチームとなる専門職が、互いにどのような知識をもち、チームを組み立て、子どもの視点とその背後で苦悩する家族をシステムとしてとらえつつ専門的なサポートをいかに行うのかを、保健・教育・福祉の各領域の視点・アプローチから明らかにしていくことが重要です。学校という場は、子どもたちが学び・成長する場です。本科目は、子どもたちが新しい世界と出会い対話し伸びていく、自分らしい時間の積み重ねのための、理解者・サポーター・パートナーとなることをめざす皆さんとともに学習を進めていきたいと考えています。子ども基本法が制定され、子ども家庭庁が子どもへ権利擁護を進める〝司令塔″として動きはじめた今こそ学んでほしい科目です。-2-
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