2025年度 学習ガイドブックⅠ
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長与専斎の衛生行政論 教科書 第2章「健康保護」事業導入への取り組み 第3章 コレラの流行とその対策 第4章「健康保護」事業の拡張への取り組み 第5章 住民との連携への取り組み 第6章「官」と「民」の協調論の提唱 解 説 「テーマ1」では長与専斎の衛生行政論について理解を深める。まず教科書該当箇所を一読したのち、以下の言葉について説明してみよう。 ①岩倉遣外使節団、 ②Gesundheitspflege、 ③医学等学術の「政務的運用」、 ④「衛生意見」、 ⑤伝染病予防規則、 ⑥medizinische Polizei、 ⑦大日本私立衛生会、 ⑧「官」と「民」の協調 次にここで理解を深めた言葉を活用しながら、いよいよ長与専斎の衛生行政論について説明してみよう。その際、以下の点を踏まえることが期待される。 長与専斎は、岩倉遣外使節団に随行し、欧州にて医学教育制度を調査する中で、近代国家の建設にとって政府が衛生事業にかかわることが重要であるとした。このとき長与は、この事業を医学等学術を「政務的に運用」するものと理解する。住民の健康への政府の介入を正当化する視点を長与は見出したのであった。そしてこれを具体化するためには、地方行政と警察行政、そして住民との連携が必要であるとした。 住民との連携を特に重視する長与は、大日本私立衛生会を設立し、住民と健康情報の共有を図るべく尽力する。長与専斎は衛生事業の推進にとって警察や官吏等「官」の役割に加えて、住民の協力に見える「民」の役割に関心を寄せていたのである。 ここでの作業は長与専斎の視点から、日本の行政がいかに形成され、運用されたのかを明らかにすることが目的である。 テーマ2 (第1回提出課題 課題2の作成に向けて) 長与専斎をとりまく人々(友人、同僚、家族など) 教科書 第1章 専斎と西洋医学 第4章 「健康保護」事業の拡張への取り組み、 第7章 専斎とその家族 第8章 内務省衛生局長退任とその後の活動 解 説 テーマ2では、長与専斎をとりまく人々、特に友人や同僚、家族などを取り上げながら、官僚が活動するための資源やその背景としての官僚制などに関する理解を深める。まず、教科書該当箇所を一読したのち、以下の人物や事柄について説明してみよう。 ①福澤諭吉、 ②井上馨、 ③後藤新平、 ④犬養道子、 ⑤岩永裕吉、 ⑥長与善郎、 ⑦北里柴三郎、 ⑧高等文官試験、 ⑨資格任用制 次にここで理解を深めた人物や事柄を活用しながら、長与専斎とこれらの人や事柄がどのような関係にあったかを整理しよう。その際、以下の点を踏まえることが期待される。 長与専斎は適塾に入塾すると、生涯の友となる福澤諭吉に出会う。また長与は長崎県(肥前藩)出身であったが、井上馨をはじめとする長州系の人脈に支えられていた。明治8年に衛生事務が文部省から内務省に移管されると、自らも内務官僚となり、その責任者126

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