2025年度 学習ガイドブックⅠ
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して告示されてから、ほぼ毎年4月1日付で改定が行われている。実際の生活保護基準はこの告示に「別表」として示され、別紙のとおり生活保護基準額表となって福祉事務所に配布されている。生活保護基準は、法第8条に基づき所在地域別に定められており現在は全国を3つの級地に分けさらに各級地を2区分し結果として6区分しており、この表は1級地の1東京区部の基準額表である。 この表に基づいて、具体的な世帯に対して保護が必要か否かの判断(要否判定)が行われるとともに、具体的な支給額の決定(程度の決定)が行われる。つまり、保護基準は保護の要否判定の尺度であるとともに程度決定の尺度にもなっている。 2005年以降、保護基準の額に変更はなかったが、2013年度の生活保護基準では減額改定となり、2013年8月から3年度にわたり新旧の基準が段階的に併用された。2013年度からそれぞれの年度の基準の適用率をふまえた複雑な計算が行なわれる状況にあった。2018年度にも、基準の減額改定があり激変緩和措置が行われている。今回は、2023年10月に告示された新たな基準額表を参考にして、生活保護基準に基づく最低生活費の仕組みを学ぶものとする。 2.保護の要否判定 具体的にある世帯に保護が必要か否か(要保護状態にあるか)の判断が要否判定である。各扶助の基準額を合計して「最低生活費」を算出し、この世帯の収入充当額(税金等の必要経費及び勤労控除額を控除して計算するがレポートでは省略)と対比して行う。最低生活費より収入充当額が多ければ要否は否であり、保護に該当しない。最低生活費の方が多ければ、要保護状態であることになる。 1) 要否判定 要否判定はその世帯について認定した最低生活費と、その世帯の収入として認定された額(収入充当額)との対比によって行う。収入が最低生活費を上回れば、保護の要否は否となり申請が出ていれば却下ということになる。 最低生活費は、経常的最低生活費(基準生活費及び加算等)と臨時的最低生活費(一時扶助費)の合算額として構成され、いずれも生活保護基準に基づいて算定される。要は生活扶助基準、住宅扶助基準など1か月分の生活費を算定して、後述する収入認定の方法によって算定した収入と対比させるのである。 生活保護の扶助の種類は8種類あり、出産扶助や葬祭扶助のように経常的に必要とされないもの、あるいは住宅扶助の「敷金等」あるいは「生活扶助」の入学準備金などの一時扶助があり、この科目履修では省略する。 レポート課題の場合、生活扶助、教育扶助、住宅扶助の各基準を合算して最低生活費を確定し、収入と対比させる。計算の結果得られた最低生活費の額から収入認定額を引き算するということである。その結果、最低生活費の方が多ければ(つまり収入が下回れば)、生活保護の必要性が「要」になるということである。 2) 収入の認定 生活保護制度において、収入は補足性の原理に基づき最低生活の維持のために活用されるべきものとされています。そこで具体的な収入から収入充当額を決定することを収入認定といいいます。収入は、勤労収入と児童手当など国の手当の合算額である。勤労収入には控除額があり、また社会保険料などの必要経費などを差し引いて決定しますが、レポートでは、勤労控除その他必要経費は省略いたします(差し引かなくてよいということです)。収入が最低生活費以下であれば要保護状態ということになります。 170

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