237 本科目では、民法や他の専門科目で履修する整備法の中身がどのように再編されていき、任意後見制度のように新しく創設されたものについて特に法律的な観点から学習を進めていくことが大切です。教科書を読み進めるとともに、六法等を片手に条文を読み取る力もつけてください。 基本的理解ができたら、成年後見制度がどのような時に活用されているのか。単に悪徳商法から要介護者等を守るだけではない、本人の意思の尊重(個人の尊厳)を視点にとらえて理解してください。 また、年々家族関係の脆弱化により、第三者後見人(専門職後見人)に対する期待が高まっています。社会福祉士(日本社会福祉士会権利擁護センターぱあとなあ所属)も令和4年1月末現在では47,689件の受任件数に昇っており、重要な役割を果たしています。こうして成年後見制度が社会化してきた過程と今後の課題についても整理してください。 【追記】 P203表6-4のように、対象となる方の判断能力に応じて成年後見人等に与えられる権限は表の右へ行くに従って狭くなります。これはご本人の残存能力(エンパワメント)を尊重したものです。保佐、補助の取消権というのは、同意権が与えられている場合に限り、本人が保佐人、補助人の同意を得ずしてしまった行為に対して効力があるわけです。ですから、必要に応じて申立て時に、3万円以上(仮なので金額は本人と相談)の買い物については保佐人、補助人が「同意権追加」を行う。預貯金の通帳の扱いは保佐人、補助人が代理で行うというような「代理権目録」を設定しておく必要があります。(成年後見人にはそのような設定は必要ありません) 上例では、訪問販売で3万円以上のお布団を契約してしまった場合に、保佐人、補助人はクーリングオフ以降であっても契約の無効を主張でき、取り消すことができます。 テーマ1 (第1回提出課題 課題1の作成に向けて) 権利擁護に関連する法の理解 教科書 第1章 ソーシャルワークと法の関わり 第2章 法の基礎 第3章 権利擁護の意義と支える仕組み 第4章 権利擁護活動と意思決定支援 第5章 権利擁護に関わる組織、団体、専門職 解 説 日本国憲法の基本原理である「基本的人権の尊重」を原則として福祉政策も進んできたが、社会福祉基礎構造改革後の措置から契約といった流れで権利擁護ということも重視されてきた経緯について学習してください。相談援助業務における法律の知識としては、民法や行政法など広いものから消費者契約法など細部の法律まで概要を知っておいてください。 テーマ2 (第1回提出課題 課題2の作成に向けて) 新しい成年後見制度その他周辺事業の構造と活動の実際 教科書 第6章 成年後見制度 解 説 新しい成年後見制度の概要と利用法、周辺の事業についても概要をまとめ、誰でも気軽に使える成年後見制度にしていくにはどうしたらいいかを考えてみてください。旧態レポート学習で学ぶ範囲
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