267体的・肉体的な存在であり、精神的・心理的な存在であるという二面性をもつほか、人は社会的に生きるという面をも持ちます。そのため精神疾患は身体的には脳の障害によることが多いのですが、脳の障害によるばかりではなくストレスによってこころに歪みが生ずるときもあります。そのストレスの多くは人間関係を含む社会的な要素を考慮に入れることを学びます。 担当教員は、日ごろ精神科臨床に携わっています。臨床現場で経験する診療のポイントは、教科書を通読するだけでは習得できません。レポート課題について、教科書を何度も読み返し熟考し、必要であれば他のメディアを参考し、字数を埋めていく作業の中で、課題のポイントを理解されていくと信じています。これらを是非学んで下さい。 テーマ1 (第1回提出課題 課題1の作成に向けて) 人をどうとらえるか、人の病いをどうとらえるか 教科書 第1章~第3章 解 説 人は生物的・肉体的存在であり、精神的・心理的存在です。さらに社会的・文化的存在でもあります。このことをよく踏まえて病いが人のどのような面を襲うかを考えてください。人の生物的・肉体的面を襲うとすればどのような病いとして人に現れるか、精神的・心理的面を襲うとすればどのような病いとなって現れるか、社会的・文化的な面を襲うとすればどのような病いとなって現れるかをしっかり考えることができるようになると、身体医学と精神医学との異同がはっきりと見えてきます。 精神疾患を分類するときに用いる、身体因性(内因性と外因性)、心因性という言葉の意味は、人をどのようにとらえるかがもとになります。ちなみに、テキストには原因不明という書き方はしていませんが、これはテキストにも表記されているように従来から「内因性」といわれてきました。この表記は、精神医学が原因不明の精神疾患を何らかの素因と結びつけることで発病を理解しようとしたことのよるもので、まだこれらの素因が明らかになっていないものの、これらの病いを原因不明と表記せず、内因性というべきであるという考えにしたがったものです。 テーマ2 (第1回提出課題 課題2の作成に向けて) 精神医学的方法とはなにか、精神医学的診断について 教科書 第1章 解 説 精神医学は、医学の一分野であり、したがって人を病いから見ようとするものであって、さらに人をその病いから遠ざけようとする行為です。したがって、人をとらえる手法には、生物的・肉体的、精神的・心理的、社会的・文化的などの手法があります。生物的・肉体的手法としては身体的な診察が行われます。視診・触診・聴診といった手法のみならず、尿・血液などの一般検査のほかCTやMRIなど神経画像検査を併用します。その基本となるのが脳機能の理解なので、脳に関する学習を中心に行います。 しかしながら精神的・心理的な面もあるだけに面接が重要であることは言うまでもありません。表情や態度、表現の観察をはじめとして話される言葉によく注意して分析します。社会的・文化的な面から人を正しく観察します。診察場面に相応しい態度や行動レポート学習で学ぶ範囲
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