268をしているかも重要な視点です。しかしながらその視点は置かれた状況によって評価が異なることも注意が必要です。 精神医学における診断はわが国では「従来診断」がよく用いられています。これらはさきの原因による分類を基盤にして、さらに年齢軸による分類を加えたものですが、いまなお使われています。これに対して国際的に用いられる診断分類があります。国際疾病分類第10版のICD-10です(ICD-11は2018年に公表されが邦訳はない)。この精神医学的診断がF項目で、F0からF9まで分かれています。またアメリカ精神医学会が用いてきた分類は、わが国でも重視されているDSM-5(2012年に改訂された)があります。福祉分野などでも一般的に用いられているので、こうした分類用語に慣れて下さい。 テーマ3(第2回提出課題 課題1の作成に向けて) 精神疾患についての解説 教科書 第2章 解 説 診断基準に関する学習が進んだところで、個々の精神疾患に関する解説を行います。解説の順序は国際的な診断基準であるICD-10に沿って行います。はじめに解説するのはF0「症状性を含む器質性精神障害」で、ここではアルツハイマー病や交通事故による脳障害とその際に現れる精神症状についてです。F1「精神作用物質使用による精神及び行動の障害」で、ここではアルコール依存や薬物依存についてです。F2「統合失調症、統合失調型障害および妄想性障害」ではわが国がなぜ『精神分裂病』という用語を用いなくなったかを踏まえながら新たに訳語として登場した『統合失調症』についてです。F3『気分障害(躁うつ病)』では躁病及びうつ病について双極性、単極性障害と表現されることもありますが、特に症状と経過の違いを学びます。F4『神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害』では従来用いられてきた神経症に関する診断についてです。F5『生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群』は摂食障害や産褥精神障害について、F6『成人のパーソナリティーおよび行動の障害』では人格障害、性同一性障害についてです。F7『知的障害(精神遅滞)』では精神薄弱という用語を用いなくなったいきさつを学び、知的障害(精神遅滞)を学びます。F8『心理的発達の障害』では広汎性発達障害を自閉症及びこれらに関連する障害として、F9『小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害』では多動性障害やチック、行為障害について学びます。 テーマ4(第2回提出課題 課題2の作成に向けて) 精神医学的治療と精神障害者を支える地域システムについて 教科書 第3章および第4章 解 説 ここでは精神医学的治療を総論的に学ぶほか、各論的にそれぞれの治療手法について学びます。精神疾患に対する治療で最も重要なのは薬物療法であり、その薬物療法に関する解説を重点的に学習します。また精神疾患であるだけに精神的・心理的アプローチが重視されますので、精神療法(心理療法)についても主な手法にかんして学びます。さらに、精神疾患に特有な感情障害や意欲障害に関する治療法として行われ
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