教科書 (1)『ケアリングの視座―関わりが奏でる育ち・学び・暮らし・生―』 中野啓明・伊藤博美・立山善康編著、晃洋書房 ISBN: 978-4-7710-3762-5 本科目で取り上げるのは、教科書のいくつかの章です。全部を網羅的に読むことはしません。しかし、ほかの章が何も意味がないのかといえば、そうではありません。ケアという言葉の範囲は広く、その分だけ、いろいろな角度からその意味を理解する努力が必要となります。提出課題に直接関わらない章にもぜひ目を通しましょう。 福祉とは、さまざまな理由から社会生活を営んでいく上で種々の困難を抱えている人をケアする営みであるといえます。その意味で、ケアという概念は福祉と深く結びついています。 しかし、「ケア」(care)という言葉には、「気遣う」、「心配する」、「関心がある」、「世話をする」といった意味があります。これらは、日常的な対人関係に係わっています。つまり、ケアという概念は、日々の生活の中で出会う人と人との交わりを指しているのです。日常生活でわたしたちが具体的にケアするのは、子供であったり、友人であったり、配偶者であったりしますし、病気の人であったり、障害を持っている人であったりするでしょう。このことを考えに入れれば、ケアとは、さまざまな仕方で相手に配慮して、その相手との間に緊密な人間関係を構築する営みである、と理解できます。 テキストでは、ケアの意義について、教育、福祉、倫理といった視点から多角的に議論されています。テキストの書名に従って、本科目でも「ケア」という言葉ではなく「ケアリング」(caring)という言葉を採用したいと思います。「ing」は、「ケアする」という行ない、そして、その行ないがまさに進行していることを表していますから、ケアしケアされる関係は、一時的なものではなく、持続的に発展し深化していく人間関係です。このような視点から、福祉の実践の鍵となるケアリングを見直してください。 「倫理学の基礎」はRRT科目ですので、科目修了試験まで一貫してみなさんが自宅で教科書に取り組むことになります。教科書は、日常生活にも見いだされるケアあるいはケアリングに関するものですから、日頃を思い浮かべながら、教科書を読んで欲しいと思います。教科書の読解を通して、みなさんの生活を振り返るようにしましょう。 各テーマに対応する教科書の箇所の分量はそれほど多くはありませんし、各章がそれぞれ独立した論文となっています。まずはざっと目を通し、それから、提出課題の出題内容を踏まえて、じっくり担当教員名 遠藤 正水 RRT 4単位 選択 11003000 倫理学の基礎 ◆学習をすすめるために・・・ ◆科目の内容について・・・ ◆教科書・参考文献について・・・ 38
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