教科書 (1)『イエス・キリストの人間観~「キリスト教福祉論」序説として~』 (志村 真著 角川学芸出版 2008) 参考文献 ①『聖書(新共同訳)』日本聖書協会 ISBN:4820212044 ②本田哲郎『釜ヶ崎と福音 神は貧しく小さくされた者と共に』岩波書店、2006年ISBN:4000224638 教科書での聖書引用は、基本的に①からなされますので、わざわざ購入する必要はありません。けれども、聖書の全体を読んでみたい方は、どうぞお求めください。 ②は本学図書館に収められています。ぜひ読んでいただき、本講と対比させながら学習の幅を広げていただきたいと思います 本講は、福祉の思想と実践の両者に深く関わってきた諸宗教の中から、洋の東西を問わず、大きな影響を及ぼしてきた世界宗教、キリスト教の教典『聖書』の人間観を扱おうとするものです。 『聖書』は、ユダヤ教とキリスト教が分かち合う『旧約聖書』と、キリスト教独自の『新約聖書』に分かれています。その執筆された期間は1500年に及び、全体の分量も2000ページ近くになります。ですから、その全体を扱うことは力量的に不可能なことです。そこで、本講では、キリスト教の教えと実践活動の中心に立つイエス(4BCE.~30CE.)の人間観とその「癒し活動」について、彼の老人観、子ども観、女性観、病気・障がい観といった分け方でたどっていきます。その際、彼が生きた時代の人間観と対照させることになりますが、共通暦1世紀のパレスチナはローマ帝国の支配を受けていた地域でした。ですから、この対照作業には、当時のローマの価値観と、さらにはイエスが帰属していたユダヤ教社会の価値観に対する、二重の対照作業が含まれることになります。 イエスの人間理解、すなわち「小さくされた人々」に中心を置くイエスの人間理解を参照すれば、今日の「ノーマライゼーション」や「完全参加と平等」といった福祉思想につながるものが、具体的に描かれていることに気づきます。しかも事柄の中心的な位置を占めて。ですから、受講生の皆さんは、他の人間福祉科目を学ぶ中で、キリスト教用語を用いていなくても、それがイエスの人間観やキリスト教の福祉観と深く関わる事項の数々に遭遇することになるでしょう。 教科書はこの科目のために講師が執筆したものです。教科書は全体で3部構成になっています。第1部「キリスト教福祉思想の原点と方向性」では、本論に入る準備作業として、福祉思想と深く関わる有名な聖書テキストの紹介と、古代に書かれた『聖書』を現代人が読むための解釈視点の提案がな担当教員名 志村 真 RT 2単位 選択 15000100 キリスト教福祉論 ◆学習をすすめるために・・・ ◆科目の内容について・・・ ◆教科書・参考文献について・・・ 49
元のページ ../index.html#60