うとするものです。なぜなら、個人の感情、思考、行動は、その人がどのような集団に属し、どのような他者とかかわっているかによって左右されるからです。この科目で取り上げる現象自体は、誰もが日常生活の中で体験している事柄です。社会心理学は、それらの現象の規則性を見いだすとともに、その背景にあると考えられる原理や仕組みを、具体的な証拠をもとに、ことば(概念、専門用語)を使って理解していきます。 教科書では、社会心理学が扱うさまざまなテーマが紹介されています。それぞれのテーマを、自分の生活体験と結びつけながら理解していくことが必要です。テーマ1、テーマ2では、主として個人内部の認知過程や心の動きを扱います。また、テーマ3、テーマ4では、主として対人関係や集団での行動や現象を扱います。領域ごとにいろいろな概念が出てきます。それらは互いに関連しています。当然ながら、提出課題に係わる箇所を読むだけでは、これらを正しく理解することはできません。部分の意味は全体に依存します。テキスト全体を読み、社会心理学の学問としての特徴、考え方をつかむことで、はじめてそれぞれの部分の意味することが理解できるようになります。 テーマ1 (第1回提出課題 課題1の作成に向けて) 社会的認知過程と態度 教科書 第1章 社会的認知 第2章 感情 第3章 態度と説得 解 説 第1章では、人が周囲の出来事や他者、自分自身について理解する過程(すなわち、社会的認知過程)について学びます。特に、人は自分や他者の行動の原因をどのように推論するかという原因帰属の理論や、推論や判断に歪みが生じるときの現象について理解します。 第2章では、感情が他者との係わりの中で生まれるものであり、どのような働きをしているのかについて学びます。気分一致効果は、感情が私たちの世界のとらえ方を方向づけていることに注目したものです。また、感情の中でも問題となる、否定的感情について理解を深めてください。 第3章では、人が自分、他者、状況などに対して抱く比較的安定した評価傾向である「態度」について、その機能や形成過程、また変化する過程について学びます。 テーマ2 (第1回提出課題 課題2の作成に向けて) 自己と公正さ 教科書 第4章 自己の成り立ち 第5章 公正さに関わる問題 解 説 第4章では、人が自分に対して抱いている感情や認知など、「自己」の諸側面について学びます。特に、自己に関する評価的な意識のことを、自尊感情(日常用語でいう自尊心)と言いますが、この自尊感情を維持し、社会の中で適応的に生きてゆけるように、レポート学習で学ぶ範囲 ◆学習をすすめるために・・・ 75
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